家人の代理で、昼前に住まっている集合住宅の寄り合いに出る。
面倒くさいと思ったが、こんな昼日中に家にいるのはだいたいが専業主婦か定年後のオヤジか、自由業の人間か、中年ニート(ああいうのは何故か男ばかりだ)であるので、専業主婦つまりは人妻の顔を拝むのも一興とばかり鼻を伸ばして出席したらハズレ。
定年後の身をもてあますオヤジばかり。女性もいるにはいたが私から見ればお姉さまという年代と思しき人が2名であった。
集合住宅内の決め事の確認など、たいした内容でないルーチンワーク的な打ち合わせの後、時分時であるということで弁当が出た。
この住宅が棟ごと入っているケーブルテレビ会社の差し入れなそうな。
それはいいのだが、おかずが鯖の塩焼き。そのでかいのが他のおかず仲間に足を乗せてど~んとのっかり、sabaご飯を枕にして威張っているのである。これが本当のサバイバル……すまんの~笑えよ~生きよ~、ここで笑わな、この記事もう笑うとこないよ。
盛り付けもへったくれもないもので、他のおかずの面々も「差し入れ」にふさわしい陣容である。
ケチをつけちゃいけないのはわかっているが、私は鯖が「あかん」のである。大昔にこいつで蕁麻疹をヒットさせ一晩と医者へ行った次の昼間まで痒みにのたうち回っていた経験から、以後は食べないことはないが、よく火の通ったやつか、新鮮なそれをすぐに酢締めにしたのでないと引いてしまうのである。
しかし性根がとことんいやしく出来ているので、タダ飯とあらば全部いただきやしょう残せば失礼ってもんだ主義であるから、まあ塩焼きなので大丈夫だろうと口にしたのである。
これが美味かった。厚い身の中央に走る脂身の部分がこってりとして、白い身の部分に伝わりいかにも脂の乗った魚を食べているいう実感を得たのである。
他の人の話を聞くとはなしに聞いていると、やはり美味しいの声があって、今時の弁当用とか惣菜の鯖はだいたいがノルウェイ産らしいと。日本近海のものはここまで太っていず脂は乗らないらしいと。
逆にいうとそれは大味ということではないでしょうか、といらんことを口走りそうになったが、近隣住民の皆様につまらないことで目を付けられてもと思い、この際美味けりゃなんでもええわと黙って美味しゅうごさいましたと相成った次第であった。
食後、昼だけあってビールではなくペットボトルのお茶でのごく自然発生的な茶話会という流れになった。
私より年長者たちの話柄である。介護、健康、持病、飲んでいる薬、孫の自慢が一回りも二回りもしている。
いい加減うんざりしてきて、「マナーモードにしているスマホに突然かかってきた電話に慌てて出る」体(てい)の小芝居を演じ、中座を詫びて集会場となっている一室から脱出したのでである。
近所のスーパーに行き、ノルウェイの鯖を見つけようとしたが、近海産のものばかりだった。たしかに小さくて身も薄い。なるほどな。
蕁麻疹は今のところ出ず。病は気からという、出るぞ蕁麻疹出るそと思っているから出るのではないか。だいたいが鯖を食べてなんともない方が圧倒的に多かったのだから、鯖アレルギーでもなんでもないのだ。
ということは私は今時稀なるノンアレルギー体質、何を食っても腐ったものでない限り当たらないという幸せ者である。口いやしきことは良きことであるのだ。