数日間、走り梅雨ような空模様が続いたが、昨日の昼過ぎから回復しだし、今日は快晴だった。
雲一つない蒼天、といえば嘘になる。多少の雲の白さが五月の空らしい紺碧の色のいいアクセントとなって、時折の強めの風にゆったりと動いている。
夜勤の仕事の日だが、妻も娘もそれぞれのパートやバイト休みで、それならばということで、大阪の私の実家に父、介護施設にいる母の機嫌伺いに3人で行った。
父は嫁と孫の手料理に相好を崩し、母は同じく彼女たちばかりと話を弾ませていた。
いささか憮然とした面もちで私はそれらの光景を見ているしかなかったのだが、老いたる父母が喜んでくれたならばそれで良し。不肖の馬鹿息子の毫の孝行の巻であった。
往復、阪神電車を利用したのだが、帰路に梅田に立ち寄り、阪神百貨店地下に行き、女たちの夕餉の菜を数種買うのにつきあう。
娘が「劇団四季の劇場ってどこにあるの?。友だちがこの間『キャッツ』を観てきたんやて」と言うので、一端地上に出てヒルトンウエストの前面にある劇場入り口を見せる。
妻が「いっぺんでいいから観てみたいわ。私は『マンマ・ミーア』が好きやなあ」と、劇団四季なんぞに何の興味もない私は彼女らのおしゃべりを傍で聞いているだけ。
どうも、今日の私はいわゆる「ハミゴ」にされているようだ。いや、いつもか。
高層ビル群特有の風巻(しまき)があった。風は妻の娘を髪を刹那につかみくしゃくしゃにしたままどこかに去っていった。
妻の頭のてっぺんが若い頃より、いくぶん薄くなっていて、毛根部分が白くなっていたのはわかっていたが、観劇したいという妻の言を聞きながら、それをあらためて見たのはつらかった。
妻と出会い、つきあい始めた頃、ヒルトンホテル(今のヒルトンイースト)が建ったことをふと思い出した。
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