と、タイトルそのまんまである。では教えてやろう。
私が広告代理店に勤めていた頃にお取引頂いていた中小企業の社長さんたちの芳名を、実名登録が原則であるSNSで検索してもほとんど出てこない。
皆さん、私か私よりやや下の世代の人で「パソコンやネットが不得手だから」という言い訳は許されない、というより使えて当たり前の世代であるから、当然SNSとは何たるかをご存知であるはず。
しかるに登録すらしていない方がほとんどである。
理由は歴然としている。へんな言い方だがリアルで「リア充」だからである。
充実しすぎてリアルの人間を相手にして忙しくて、どこの馬の骨だかわからない「ネットのお友だち」とやらと繋がって遊んでいる暇なんかないのである。
ネットでことさらに「あ~忙しあ~忙し」と大昔の吉本新喜劇の谷しげるみたいなことを自分で言わなくたって、ただでさえ忙しいのである。むしろ「ふぁ~~~暇で暇でしゃ~~ない」と一度でいいからのんびり言ってみたい人たちなのだ。
社長さんたち、独立不羈と努力の人ばかりで、今の会社は自分が起業した人が7割、親譲りだが自分の代で大きくしたとまわりが認める人3割か。
誰しも若い頃から相当意識と志が高かった人たちであり、またそうでないと会社経営などやれないのだが、自分は「意識が高い」とは意識すらしなかったはずである。
だから「俺は意識が高いぜ。見てくれみんな」とSNSでアピールするという発想など起こりようがない。
そんなくだらないことにまわす時間があれば、ある社長は薄膜フィルムを計測するのにもっと高精細化を目指すことに費やし、別の社長はトランザクション処理の高速化プログラムを何回も書き直していたり、こちらの社長は金属加工において微妙で芸術的とさえ言える曲げの角度にこだわっている。
かといってこれらの作業工程のあれこれをネットにいちいち上げて「やっとうまいことやれました。これから自分へのご褒美に気に入りのお店でディナーしてきます」と、店に行きゃ行ったで料理の写真をうpして悦ぶような真似は逆立ちしてもやらない。
「おやりになったら如何ですか」と訊いたところで「なんでそんなことやらなあかんの。なんかメリットあるの。作業工程を見せる?そんなもんお得意さんに直接見せるもんでしょ。素人に見せてどないしますのん。褒美に料理?あほかいな。仕事してそのたんびに自分に褒美なんかやってたら、金がなんぼあっても足りますかいな」と至極当然な答えが返って来るだけだ。
真に意識が高い人とは、自分が目指していることや、大人として当然のことをさらっとして黙ってやってのけ、それをいちいち口に出さなくとも、まわりが勝手に認めて評価してくれる人たちのことである。
世に言う「意識高い系」とバカにされている人はこの逆で、非力でバカである自分(悲しいかな、そのことに気づいていない)を人気ラーメン屋ではないがマシマシにしてSNSを中心としてネット上で盛りたがる。
異業種交流会などでたまたまサプライズで現れた今をときめく企業(特にIT系)の社長の横にささっと近寄りぱぱっと自撮りして、その画像を載せてさもこの社長とは旧知の仲のように演出する。
夢語りはいいが「フェラーリに乗るのが夢」と臆面もなく語れる、稚気というよりたんに精神年齢が低いだけなのだが、勝手にやっとれ馬鹿かと哄(わら)いたくなるやつ。
何を夢見て頑張ろうがそりゃ本人の勝手だけど、即物的俗物的であんまり意識が高い夢とは思えんぞ。
「そういうやつのSNSの友だちをたぐっていけば類は類を呼ぶとはよく言ったもので、友だちもおんなじようなやつばっかりや」」と娘に言って講義はお開き。