昨日は三宮で飲んだ。
宴は夕方にお披楽喜となり、一人となり、センター街のジュンク堂で立ち読みをしていたら、頭の芯から前頭部右側にかけて急にズキズキと痛みだしてきた。
酒を飲んだ後は多少なりとも頭痛がするものだが、此度の痛さは尋常ではない痛みであり種類のものだった。
ジュンク堂当該店は、センター街を見下ろせるはめ殺しの掃き出し窓の下部に腰掛けのような縁をしつらえているが、酒の酔いでないよろめきでふらつく足をなんとかそこまで運び、へたりこむようにそこへ尻を下ろした。
痛む頭を抱えてしばらくうなだれていたのだが、「脳梗塞、脳内出血、脳血栓破裂、くも膜下出血、死ぬかヨイヨイか」と呪文のように声にもならぬ声でリフレインする。
とにかく落ち着け、まずはゆっくりと深呼吸、と言い聞かせてそれをくりかえしているうちに痛みは緩和されてきた。
そうして20分ほどうなだれポースでいたが、ほとんど痛みを感じなくなりようやく頭を上げた。
ゆっくりと立ち上がるとふらつきもない。恐る恐る歩き出す。なんとか歩けるようだ。
しかし地下鉄駅まで歩くのはつらい。センター街から地下鉄三宮駅まで腹立つくらい離れとる。ここらへんが大阪梅田と違うところで、梅田はJR大阪駅、阪急、阪神各梅田駅、地下鉄御堂筋線梅田駅谷町線東梅田駅四つ橋線西梅田駅と6つもの駅が角突き合わせるかのように近接している。せやから神戸は田舎やっちゅうねん。
神戸からすればまったく理不尽なことを毒づきながら、久しぶりに三宮からJRを利用した。快速電車に乗れば乗り換えなしでまっすぐに自宅最寄り駅まで帰れる。
ちょうど退勤時のラッシュ。三宮駅の夕方ラッシュ時の下りホームは相も変わらず殺人的な飽和状態。よくまあこれで事故が起こらないことだと思う。
この時間帯の快速は10両か12両編成。運用車両は221系か223系。それぞれ6連+4連、8連+4連の編成で入線してくる。
223系より221系の方が、1両あたりの座席数が若干多い設計になっているから、白い電車の12両が来るまでホームの東端で待つ。最後尾車両に乗れば確実に座れることを経験上知っている。
スーツを着た人で溢れているホームをぼんやりと眺めていると、大阪で勤めていた頃を否が応でも思い出す。「あ、部長、その件でしたら後ほどメールお入れしますわ」とかなんとか携帯の通話が聴こえてくれば「あんなこと俺もやってたやってたなあ。それが今はなんやねん。本来なら俺も50代最後の年とはいえ男の仕事盛りやんけ。ふん。アホがええ気になって平日の昼間から酒くろて頭イタタタでウロが来てくさる。さっきの頭痛が因で救急車呼ばれてなんて事態になりゃええ恥さらしやがな」と自嘲する。
あの尋常ならざる頭痛のひとときはもしかして警告かも知れない。天が「注意したるのはこれが最後やで。ええかげんしとけよ。後は知らんぞ」とばかりに。
と思いたくもなるような痛さだった。小心で器量度量ともに褊狭たる私は帰宅後、入浴も恐恐とそこそこに倉皇として寝床に退散したのであった。