浅田真央引退会見を見る。
この人ほど日本の老若男女まんべんなく愛されたアスリートはいないのではないか。
スケートなんか知りませんという人でも彼女を知らない人はまずいない。
顔でずいぶん得をしている。美女でもなくブサイクでもなし、どこかおっとりと茫漠とした面持ちは嫌味がない。
見ていて飽きが来ない顔だ。
わしが30歳若けりゃ嫁にしてやってもええぞと、あほなジジイビギナーをして自惚れさせる顔だ。
同じスケート選手の安藤美姫や村主章枝の美女だが、あのクドイ顔は2時間も見ていればうんざりする。
子供の頃から天才性を発揮、やがて氷上の女王として男女を超えた日本のスケート界に君臨、斯界を牽引してきた超大物らしさがどこにもない。
今なお「真央ちゃん」と子供にまで親しく「ちゃん」付けで呼ばれている。女王ちゃんなのだ。
町内にいくらでもいるおねえちゃんみたいな人はメディア各社のインタビューに素直に率直に自分の言葉で淡々と答えて、時折感極まってグッと涙をこらえ…ここんとこが日本人の琴線に触れるわけですな。
8286d6d2会見場になぜか(笑)「しんぶん赤旗」の記者まで来ていて「キム・ヨナについてどう思うか」と訊かずもがなな無粋な質問をぶつけていたが、真央ちゃんは華麗にすっと流して答えていた。
鎧袖一触。女王の片鱗をちらっと見せたのはさすがだと魅せた。
どうでもいいが、ニュースを伝える各局のアナウンサーやキャスター、ワイドショーの司会者たちが申し合わせたかのように、誰もが「浅田真央選手、お疲れ様でした」と締めくくっていたが、この場合の「お疲れ様でした」には違和感を抱く。
原則をいえば「お疲れ様」は下位者が上位者に向かって遣うねぎらいの言葉、あるいは同僚同士仕事の合間の連絡や退勤時に交わし合う挨拶語みたいなものだが、安易に遣いすぎだ。
真央ちゃんの場合はあえて心をこめて「ご苦労様でした」でいいではないかい。
日の丸背負っての重責、両肩にナショナリズムに重くのしかかられての五輪出場、そんなこんなで苛烈なまでのプレッシャーの下でベストを尽くしてきた人の苦労を称えるために私は「本当にご苦労様でした。これからはゆっくりしてちょうだいね」と労いたい。
しかし26歳の「女の子」に「若い人らがどんどん出てきて」と言わしめるスケートの世界の世代交代の早さには驚くばかり。
男子スケート界も羽生結弦選手は23歳にしてすでにベテランの域だというのだから。
なんかこないだ出てきたばかりの子だと思っていたら早くも次代のスターが生まれているらしい。いやはや。