晴れ時々くもり。厳寒変わらず。ただ予報された雪はちらつきもせず。
読む本がないので押入れから松本清張「地の骨」を取り出し読む。自分が作成した入試問題原案を情事の後、女と乗ったタクシーの中に忘れてきたというのが小説のオープニング。そこから名門私立大学内における教授や理事たちの派閥争いの人間模様が描かれていく。
30年ほど前に一度読了しているが、おおまかなストーリーは覚えているものの細部はすっかり忘れている。
清張といい乱歩といい日本の推理小説のマイルストーン、エポックメイキングな作家はその短編群は秀作揃いだが長編はほとんど駄作が多いという不思議な一致をみる。
「地の骨」も同様。ご都合主義的なストーリー展開はもはや清張長編の「芸」のひとつである。
部屋に閉じこもって本ばかり読んでいると体がなまって仕方がないのだが、さりとてこの寒さでは散歩に出る気もしない。
私の家の近所は高低の起伏にとんだ雑木林が多く散歩に好適で、いわゆる街の中の「森」にことかかない。
街並みの中の森は気楽に日常から非日常に入り込める場所だ。DSCN5265
幽霊お化けその他狐狸妖怪の存在などいっさい信じない私であるが、街の中の森に入るとなぜか妙にそういう類に出くわすかもしれないと思えるから不思議である。
街路から直接見やる太陽よりも、木々の間に垣間見える太陽は森のあちらこちらをまばらに照らしだし、木々たちには精霊が宿り、その呼び声で名も知らない草花から妖精たちが出てきそうな錯覚にとらわれたりする。
森の向こうに日常のシンボリックの最たるものであるスーパーの看板が見えているというのにこのチグハグ感はなんだろう。
もう少し暖かくなればこの不可思議なチグハグ感を味わうために出かけよう。