妻と娘は化学調味料が嫌いで、彼女らの作る料理は私にとってもどうにも薄味に感じる。
舌の味蕾の感覚が年を経るほど子供の頃のそれに戻るというが、私が小さい頃は「味の素」の小瓶が当たり前のように食卓にあった。
母や祖母は早や調理の段階でそれをふんだんに使い、出来上がった料理にまたそれを振りかけて食べたものである。漬物にもかけていた記憶がある。
その頃の嗜癖が蘇ってきているのか、最近どうにも濃い味付けのものを好んでしまう。
生活習慣病の進行を早めるようなもので、なるべく避けるようにしているのだが、やはり薄味だと食べた気にならず、したがって満腹感も得られない。
夜、所用があって出かけるため、早めの夕食に妻にスパゲティナポリタンを作ってもらったのだが、どうも物足りない。けして不味くはないのだが。
で、粉チーズとタバスコをふんだんにかけ回す。チーズのコクとタバスコの辛さで薄味感をまぎらわす。image
妻は笑う。「そんなことよりパスタ200gを100gに減らす努力をしなさい。食べ過ぎやんか」と。
60を手前にこの健啖ぶりは如何ともしがたく、これが体重落としの阻害要因となっている。
しかし腹減るものは減るのだから仕方あるまい。私は空腹状態になると、日頃の温厚で紳士的な性格が一変、凶悪で陰険となりちょっとしたことで立腹するという邪魔くさい一面を持っている。
10秒に1回は「う~~~腹減ったぁ~」と低く唸りながらイライラと落ち着かず、家じゅうウロウロしだすのだから困ったものである。
今日はここ数日の厳しい寒さも一段落。やわらかい日差しの中を吹き渡る微風に険もなく外を歩いていると気持ちがいい。もちろん腹満ちた状態にいる上での穏やかな気分の中にいるせいもあるが。
冬の陽がやさしく明石海峡を暖めている。夕方5時前で太陽はまだ茜色の光を放っていない。ずいぶん日が長くなったものだ。
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